急性フィラリア症(大静脈症候群)

フィラリア予防のシーズンですが、

昨年に引き続き今年もまた「急性フィラリア症」に遭遇しました。

去年の12月に県から譲渡された保護犬で

2日前までは全く普通で元気だったということです。

前日から元気食欲なく息が荒く苦しそう、

おしっこが赤いということで来院がありました。

聴診にて特徴的な右側胸壁を最強とする心雑音、

血色素尿、ミクロフィラリアの確認にて

急性フィラリア症(大静脈症候群)と診断し、

早急なフィラリア摘出手術の必要性を説明。

しかし、肺水腫様症状で呼吸困難のため、

急性フィラリア症でも特に危険度の高いタイプです。

さらに、腎機能の低下(クレアチニン8.6)で危険度マックス。

まずは早急に手術を実施し48隻のフィラリアを摘出し無事終了。

 

 

 

 

 

 

 

 

本来なら虫体を取りだすことによってすぐに元気になるのですが、

案の定、全く状態が良くなりません。

急性腎不全を引き起こし元気食欲がまったくなしです。

長期入院となり点滴継続治療。

入院治療中に肝不全により腹水もたまってきました。

2週間の入院治療の後、急性腎不全は利尿期に入り

次第に腎数値が下がってきたのですが、

一向に食欲は回復せず、さらに調べたら

何と急性膵炎も発症(膵特異的リパーゼ強陽性)。

さらに1週間の入院治療によりようやく回復傾向。

結局 3回 命を落としかけましたが、

奇跡的に助かり食欲回復し、術後3週間後に退院となりました。

血液生化学検査では、まだ各項目正常値ではないものの、

退院5日後の再来院では、

比較的元気で食欲も出てきたみたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

以前からフィラリア症は少なくなってきているといわれていますが、

今も脈々と犬と蚊の生活環の中で生き延びているのです。

昨年フィラリア症予防前の検査でフィラリア抗原陽性が

確認された例が15例あり、今年もすでに6例ありました。