輸血

こんばんは、獣医師の伊藤です。

 

一週間前くらいに、以前の病院で診ていた猫さんが来られました。

かなり状態はよろしくなく、本人は食べることも寝ることも出来ないくらいの重症な状態でした。

尻尾をみると、かなり大きな穴が開いてしまっている状態…同時に実施した血液検査で、白血球(細菌と闘うための血球)がかなりの上昇…

身体が完全に負けかけている敗血症の状態でした。

すぐさま強力な抗生剤を注射して、なんとかもってくれるよう待ちました。

すると、すぐさま状態は改善しだし、何よりも本人がすごく楽そうに過ごし始めました。

しかし、今度は下痢が続き、腸管の粘膜はボロボロになり、元々あった貧血がかなり進んでしまい、なかなか改善しません。そこで、本日、巨大な猫さんの力を借りて、輸血させてもらいました。

輸血自体が病気を治すものではありませんが、輸血をしてもらった猫さんは少しでも力をもらったと思います。

 

生き物の生き死にを人間が操るのはおこがましい

手塚治虫のブラックジャックの言葉です

 

確かに、どんなにいい薬でもどんなに技術があっても、その子が生きようとする力が無ければ、なかなか治療もうまくいかないこともあります。治療法がない場合さえあります。

ただ、貧血の猫さんは、飼い主さんや他の猫さんや病院スタッフの力を貰ったと想います。その力が病気を治すきっかけになってくれればと期待して、お返ししました。

元気な姿になったら、元々短かった尻尾をもう少し短くして、痛みと感染の原因を取り除きましょう!